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法人税とは?税率・計算方法などを
税理士がわかりやすく解説

法人設立直後の方や法人設立を検討されている方で、「法人税って、どれぐらいかかるのかな?」「法人税ってどうやって計算するんだろう?」など、法人税に対して不安を抱いている方は多いのではないでしょうか。

法人税とは、法人の所得(利益)に対して課税される税金で、会社が定めた期間内の所得に定められた税率をかけて算出します。

この記事では、税務知識がない方でもわかりやすいように、ベテラン税理士が法人税の計算方法から所得税との違いなど、法人税の基本的な知識を解説いたします。

所得に対して課税される法人税

法人税とは、法人の所得(利益)に対して課税される税金のことです。

個人事業主が確定申告をして支払う所得税をイメージしていただけると、わかりやすいかもしれません。

法人税も所得税と同じように、会社ごとに計算して税金の金額を税務署に申告して支払います。

3つの税金をまとめた総称「法人税等」

所得にかかる法人税ですが、その他の「法人住民税」「法人事業税」とまとめて「法人税等」と呼ばれることも多いです。
法人税は国に納める「国税」ですが、その他の二つは都道府県や市町村に納める「地方税」となります。

国税地方税
法人税

法人住民税

法人事業税

法人税と所得税の違い

個人の所得に対してかかる「所得税」と「法人税」は、どのような違いがあるのでしょうか。
個人事業主から法人成りした方や法人成りを検討している方は、気になりますよね。
所得税と法人税の違いについては、下記の表を参考にしてください。

 所得税法人税
課税対象個人の所得法人の所得
税率所得に応じて、税率が異なる「超過累進税率」税率は一定
(資本金・法人の種類によって異なる)
税額計算の対象時期1月1日〜12月31日定款で定めた1年以下の期間
申告の時期翌2月16日〜3月15日事業年度終了の翌日から2ヶ月以内

最も大きな違いは「税率」

最も大きな違いは、「税率」です。
所得税は所得が高くなればなるほど税率は高くなりますが、法人税は資本金・法人の種類によって異なりますが、一定です。

所得税の税率一覧
課税される所得金額所得税の税率
1,000円 から 1,949,000円まで5%
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%
40,000,000円 以上45%

出典:国税庁

法人税率は何パーセント?

法人税率は

  • 資本金の金額
  • 所得金額
  • 開始事業年度

によって異なり、それぞれ下記の法人税率となっております。

資本金1億円以下の法人税率
所得金額(年額)

平成28年4月1日以後

(開始事業年度)

平成31年度以後

(開始事業年度)

800万以下の場合15%15%
800万以上の場合23.4%23.2%
資本金1億円以上の法人税率

平成28年4月1日以後

(開始事業年度)

平成31年度以後

(開始事業年度)

23.4%23.2%
  • 資本金1億円以下かつ、所得金額が800万以下の法人
  • 所得金額が800万円の個人事業主

を比較すると、法人税の方が所得にかかる税率は安くなります。

所得税は所得に応じて税金が高くなり、法人の場合は税率が一定であるため、節税のために個人事業主から法人成りするケースも多いです。

法人税の計算方法

法人税は下記の計算式で算出できます。

法人税額=課税所得×法人税率-控除額

課税所得はどうやって計算するの?

法人税の計算に必要な課税所得は、下記の計算式で算出します。

  • 課税所得=益金ー損金

益金と損金は税金を計算するための概念で、

  • 益金=収入から支出を引いた利益
  • 損金=支出・費用

と思っていただければ、ほとんど正解です。

ただ、利益や費用は会計上の考え方であるため、利益・費用をそのまま益金・損金として計上できません。

例えば、投資している会社からの配当金は、会計上は利益に当たります。
しかし、税金の計算では益金に含められません。

このように、利益・費用と益金・損金は厳密には異なります。

利益と課税所得の「ズレ」を修正する「税務調整」

利益・費用と益金・損金の違いを、調整することを「税務調整」と呼びます。

収益から費用を引いた「税引前当期純利益」に「加算項目」を追加し、「減算項目」を引いて「課税所得」へと修正していきます。

ここでは「税引前当期純利益」を出した後、「税務調整」を行って、「課税所得」を計算する、ということまで理解できていれば大丈夫です。

控除額っていくら?

納めるべき法人税から、一定の金額を差し引く控除ですが、控除額は適用できる控除によって異なります。

しかも、控除には様々な種類があり、どの控除が適用できるかはその期の企業の活動や状況よって決まります。

そのため、一概に「控除額がいくら」とお伝えすることはできません。

どの控除が適用されて、控除額がいくらになるかは税理士に確認することをお勧めいたします。

法人税の申告期間はいつ?

法人税の申告期間は、事業年度終了の翌日から2ヶ月以内です。

個人事業主の事業年度は原則として、1月1日から12月31日と定められていますが、法人の事業年度はご自身で決められます。

そのため、4月1日から翌年3月末を事業年度として定めた場合は、5月末までに申告を行う必要があります。

法人税が課税されない法人とは

法人税にも様々な種類があるように、法人にも様々な種類の法人があります。
その中には、法人税が課税されない法人もあります。

課税される法人課税されない法人

・普通法人

・協同組合

・公共法人
・公益法人
・人格のない社団

各法人の種類についても、簡単に説明していきます。

課税される法人1)普通法人とは

普通法人とは、下記の種類の法人のことです。

  • 株式会社
  • 合名会社
  • 合資会社
  • 特例有限会社
  • 医療法人
  • 相互会社
  • 企業組合
  • 一般社団法人及び一般財団法人
課税される法人2)協同組合とは

協同組合とは、労働者個人や経営者個人が集まって設立・運営する組織のことで、共同組合にも法人税は課税されます。

代表的な協同組合は、労働者共同組合、農業共同組合、漁業協同組合です。

普通法人と同じように課税されますが、協同組合は軽減税率によって、税金の負担が普通法人よりも減ります。

課税されない法人1)公共法人とは

特定の人や特定の分野ではなく、社会のために事業を営んでいる非営利目的の組織を「公共法人」と呼びます。

具体的には、地方公共団体・国立大学法人・日本政策金融公庫・日本放送協会などが公共法人に分類されます。

公共法人には法人税は課税されません。

課税されない法人2)公益法人とは

教育・宗教・慈善といった公益のために事業を営んでいる、非営利目的の組織を「公共法人」と呼びます。

社団法人・学校法人・宗教法人・社会福祉法人などが、公共法人に当てはまります。

基本的に法人税は課税されませんが、公共法人の中の収益事業の所得に対しては法人税が課税されます。

課税されない法人3)人格のない社団

法人ではない社団・財団でも、代表者又は管理人の定めがあるものは、税法上は法人として分類されます。

例えば、PTA・マンションの組合などが「人格のない社団」になります。

人格のない社団も法人税は課税されませんが、収益事業の所得に対してのみ法人税は課税されます。

法人税を納付しないとペナルティがある

法人税を申告・支払いしないと、下記2点の大きなデメリットがあります。

  1. 財産が差し押さえられ、関係者に通知される
  2. 延滞税が課せられる

法人税未納の事実が関係者に通知されると、社会的信用を失います。
それだけでなく、本来支払うはずの税金よりも高い金額を支払うことになるため、法人税を未納にしておくことはできません。

法人税を未納にしたらどうなるか知りたい方はこちら

法人税の計算・申告は複雑

ここまで法人税について解説してきました。

法人税自体はそこまで難しい課税制度ではなく、シンプルに

  • 課税される法人と課税されない法人がある
  • 法人の所得に対して課税される

とだけ覚えていただければ問題ないと思います。

ただ、法人税の金額の計算・申告や節税対策は、税制を理解する必要があります。

そのため、ほとんどの法人が毎年の決算や節税対策を税理士にお願いしています。

税務調査が入っても大丈夫なように正確に計算して申告したい方や、税金の計算・申告に自分の時間を使いたくない方は、税理士にご相談することをお勧めします。

法人税の節税に有効な対策とは

なるべく税金を抑えたいと思うのは、経営者の当然の心理です。
ただ、「正しい節税対策」をしないと「脱税」とみなされ、ペナルティを受ける可能性があります。
では、どのような節税対策が有効なのでしょうか。

代表的な節税対策としては、下記の3つです。

  1. 赤字の繰越
  2. 未払費用の計上
  3. 在庫の整理

節税対策について、もっと知りたい方は下記のページもご覧ください。

法人税の節税に有効な9つの対策と注意点とは

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