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医療法人を運営する中で、「どんな節税対策を取るべきか?」「節税する時の注意点は?」といった疑問を抱く経営者の方も多いのではないでしょうか。
節税対策で間違った方法を選んでしまうと、社会的信用を失ってしまうことも。
本記事では、医療法人が実施できる節税対策、実行時の注意点を詳しく解説いたします。
この記事を参考に、正しい節税知識を身につけて、適切な節税対策を進めていきましょう。
具体的な節税対策をお伝えする前に、その前提知識となる、医療法人が支払う税金の種類を把握しておきましょう。
医療法人が納める主な税金は、以下6つの種類です。
法人税とは、医療法人が得た利益(所得)に対して課される税金です。
通常の医療法人と特定医療法人によって、適用される法人税率が異なることに注意が必要です。
特定医療法人とは、医療法人の中でも公益性が高いと認められた法人のこと。
通常の医療法人より非営利性が強く、厳しい要件を守れば税制優遇が受けられるのが特徴です。
令和4年4月以降の医療法人の法人税率は以下の通り。
医療法人 | 資本が1億円以下の医療法人 | 年間所得800万円以下の部分:19% 年間所得800万円超の部分:23.2% |
---|---|---|
資本金1億円超の医療法人 | 23.2% | |
特定医療法人特定医療法人 | 19% |
法人税について詳しく知りたい方はこちら
法人住民税とは、法人が事業を行う都道府県・市町村に支払う税金です。
法人住民税には「均等割」と「法人税割」の2種類があり、医療法人も対象となります。
企業は単に事業を営むだけでなく、地域社会の一員としての役割も果たしています。
そのため、法人住民税は、企業が地域に貢献するために大切な税金と言えるでしょう。
法人住民税を詳しく知りたい方はこちら
では、具体的に以下の条件をもとに、実際に法人事業税を計算してみましょう。
・法人の種類:医療法人
・課税所得:400万円超
・事業開始年度:平成28年度
・所在地:大阪府
・適用税率:超過税率
この場合、法人事業税率は 4.93% となるため、支払う法人事業税額は以下のとおりです。
400万円 × 4.93% = 19万7,200円
法人事業税について詳しく知りたい方はこちら
地方法人税は、法人が支払う税金の一種で、地方自治体の財政を支えるために設けられた税です。
法人税に一定の割合が課税され、その後、国から地方自治体に再分配される仕組みになっています。
ただ、医療法人は収益事業に該当する部分に対してのみ課税されます。
地方法人税を詳しく知りたい方はこちら
医療行為自体(診察や治療)は消費税が非課税ですが、課税対象となるケースがあります。
健康保険を適用せず、患者が自己負担で支払う診療(自由診療)は課税対象。
また、医療法人が患者さんに対して医薬品や医療機器を販売する場合も消費税が課せられます。
消費税を詳しく知りたい方はこちら
平成21年度の税制改正により、社会医療法人の固定資産税が非課税になりました。
社会医療法人認定の要件を満たしている場合に限り、固定資産税が免除されます。
具体的には、以下のような施設です。
これらの医療サービスを提供している施設については、固定資産税が非課税。
一方で、上記に該当しない一般的な病院や診療所、老人介護保健施設などは、引き続き固定資産税が課税されます。
病院や診療所内に院内売店がある場合、その売店がある建物に固定資産税が課税されます。
固定資産税について詳しく知りたい方はこちら
医療法人を運営する中で、税負担を抑えながら適切に経営を行うことは重要です。
今回は、医療法人が活用できる12の節税対策を紹介します。
ただ、剰余金の配当禁止や役員報酬の制限など、医療法人特有の規制や制限もあるため、実行前に確認してから対策を行いましょう。
役員に支払う報酬を経費計上することで、医療法人は課税対象となる利益を抑えられ、法人税の負担を軽減できます。
しかし、役員報酬の金額設定には注意が必要です。
報酬を高く設定しすぎると、税務調査で問題になる可能性がありますし、逆に低い金額だと、経営者自身の生活に支障が出ることも考えられます。
また、医療法人は非営利団体であるため、業界の水準を大きく上回る役員報酬は認められないことがあります。
特定医療法人の場合は、年間で3,600万円と明確な上限が決められているため、注意してください。
役員報酬は「給与所得」に該当するため、給与所得控除が適用されます。
給与所得控除とは、給与収入から一定額を控除できる制度のこと。
控除額は収入金額に応じて決まるため、役員報酬の金額が適切であれば、税負担を軽減する有効な手段となります。
役員報酬の節税には、細かい計算や戦略が求められるため、より詳しい節税方法を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
役員報酬の節税について詳しく知りたい方はこちら
医療法人は赤字が出た場合、翌年以降に繰り越せます。これを「欠損金の繰越」と言い、最大10年間繰り越しが可能。
繰り越した赤字は、黒字が出た年に利益と相殺できるため、法人税を減らせます。
さらに、黒字の翌年に再度赤字が出た場合、赤字を過去の黒字と相殺できる「欠損金の繰戻しによる還付」という制度もあります。
これらの制度をうまく活用すれば、法人税の負担を減らし、経営を安定させることが可能です。
未払い費用とは、今期中に発生したものの、支払いが来期に行われる費用のことです。
経営者は将来的に支払う義務があるため、その費用を今期の経費として計上可能。
月々の所得や損金が大きいほど、未払い費用を計上することで得られる節税効果が高くなるため、特に高い収益が見込まれる年に有効な節税対策となります。
通勤手当や出張手当とは、従業員が通勤や出張にかかる費用を会社が支給する手当のことです。
これらの手当は会社の経費として計上でき、法人税の課税対象となる利益が少なくなるため、節税効果が期待できます。
特に出張が多い場合、出張旅費規程を作成すれば、実際にかかった金額以上の出張手当が支給できます。
その金額には所得税がかからないため、出張手当を受け取る社員にとってもメリットが大きいです。
ただ、通勤手当や出張手当には一定のルールがあり、適切な金額を支給することが求められます。
役員の自宅を社宅扱いにすれば、家賃の50%を法人の経費として計上でき、法人税の負担を軽減できます。
ただ、法人名義で賃貸契約を結ぶなど、一定の要件を満たす必要があるため、事前に確認してから実行しましょう。
詳しい役員報酬の節税について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
社宅の節税について詳しく知りたい方はこちら
患者さんの送迎車や、従業員の社用車を購入する際は、中古車を購入した方が節税になります。
新車を購入すると、最初の購入額が高いため、減価償却費が少なくなり、すぐに経費計上できません。
減価償却とは、購入した資産(車両など)の価値が年々減少する分を、毎年経費として計上する手続きのこと。
一方、中古車を購入すると、減価償却の期間が短くなり、早い段階から経費として計上できます。
これにより、早い段階で税金面でのメリットを享受でき、経営負担を軽減することが可能。
中小企業経営強化税制を活用した設備投資では、税額控除を受けられるため、初期投資の負担を軽減でき、長期的に大きな節税効果が期待できます。
中小企業経営強化税制とは、中小企業が設備投資を行う際に受けられるものです。
この制度は医療法人にも適用され、医療機器以外の備品とソフトウエアが対象。
具体的には、電子カルテやレセコンを導入した際のソフトウエアとパソコンなどの周辺機器です。
事業の業種によって異なる要件が設けられているため、適用を受けるためには詳細な確認が必要です。
2019年の税制改正により、従来期待されていた生命保険を活用した節税対策が難しくなりました。
具体的には、損金として計上できる保険料に制限が設けられ、以前のように短期間で課税を繰り越す方法が使えなくなったのです。
ただ、保険料の計上には期間が定められており、その期間を過ぎると保険料の全額を損金として計上できるようになります。
解約するタイミングによっては、節税効果を得られる場合もあるため、適切なタイミングを見極めることが重要です。
生命保険の節税について詳しく知りたい方はこちら
医療法人では、理事長や役員に退職金を支給することが可能です。
適正な金額であれば、法人側はその全額を損金に算入でき、法人税の負担を軽減できます。
一方、受け取る側は退職所得として扱われ、分離課税(他の所得と合算せず独立した税率が適用される制度)となるため、税負担を抑えられます。
退職所得には「退職所得控除」も適用されるため、一定額まで非課税で受け取れます。
医療法人の財務戦略として法人と個人両方に節税メリットが期待できるため、うまく活用しましょう。
確定拠出年金(DC)は、企業が掛金を拠出し、従業員が自ら運用する年金制度です。運用結果に応じて受取額が変動するのが特徴。
医療法人が企業型DCを導入すると、法人が掛金を拠出し、その全額を福利厚生費として経費計上できます。
これにより、法人の税負担を軽減しながら、従業員の老後資産形成を支援することが可能です。
オペレーティングリース投資は、航空機や船舶などの高額な設備をリース会社が購入し、その設備を企業に貸し出す仕組みです。
投資家はファンドに出資することで、リース料の収入や最終的に設備が売却される際の売却益を得られます。
この投資の大きな利点は、損金算入による節税効果です。
投資初年度に多額の減価償却費を計上できるため、課税所得を圧縮できます。
ただ、投資後のリース市場や売却価格によっては、想定よりも利益が少なくなるリスクもあるため、投資を検討する際には、事前に十分な調査とリスク評価が重要です。
MS法人(メディカルサービス法人)とは、医療法人ができない業務を担当する法人です。
項目 | 営利目的の事業 | 医療行為 |
---|---|---|
医療法人 | できない (営利事業は禁止) | できる |
MS法人 | できる | できない(医療機関ではないため) |
MS法人は一般的な株式会社や有限会社と同じ形態で運営され、病院、クリニック、歯科医院などの医療機関が別事業体として設立するケースが多いです。
医療法人がMS法人を設立するメリットはいくつかありますが、特に節税効果が期待できます。
医療法人がすべての利益を受け取ると、高い法人税率がかかります。
そこで、MS法人に事務管理や清掃業務などを委託し、その対価として適正な報酬を支払うことで、所得を分散させ、法人税の負担を軽減できます。
さらに、MS法人から家族に役員報酬として給与を支払うことで、個人の所得税も抑えることが可能。
所得税は収入が増えるほど税率が高くなるため、家族間で所得を分けることで、全体的な税負担を減らせるのです。
ただ、こうした税務戦略を実行する際には税務上のリスクが伴うため、税理士と相談しながら慎重に設計するのが重要です。
医療法人の経営目的は、安定した収益を確保し、医療設備の充実や職員の待遇改善などに充て、質の高い医療を継続して提供することです。
節税だけを重視すると、不要な設備投資や無駄な支出が増えてしまい、逆に経営に負担をかけることもあります。
また、行き過ぎた節税対策は税務調査で問題になることもあり、最悪の場合には脱税とみなされるリスクも。
特に医療法人の場合、社会的な信用が大切ですので、不適切な節税対策は信頼を損ねてしまう可能性もあります。
短期的には節税効果が見えても、長期的には損をする場合もあるので、節税対策は税理士に相談しながら進めるのがお勧めです。
これまでご紹介したように、医療法人が活用できる節税対策はいくつかあります。
ただ、医療法人の税務は、一般法人とは異なる特殊なルールが多いため、適切な節税を実践するには専門的な知識が欠かせません。
・医療法人特有の税務処理が複雑で分かりにくい…
・本当に効果的な節税ができるのか不安…
こうしたお悩みをお持ちなら、医療業界に詳しい税理士に相談するのが安心です。
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