この記事では、これから節税対策を始めようと考えている経営者の方に向けて、節税の基本知識をお伝えいたします。
税金に詳しくない方でもわかりやすいように、専門用語をなるべく使わずに解説いたしますので、ぜひご参考にしてください。
そもそも節税とは、法律上の適正範囲内で法人の所得(利益)に課せられる税金を払いすぎないようにすることです。
法律違反や法律の穴をついて税金額を低くする脱税や租税回避とは異なりますので、ご注意ください。
税金をできるだけ抑えたいという気持ちはわかりますが、法律を正しく理解した上で節税を行わないと罰金や法律違反で刑罰を受ける可能性があります。
脱税とは、納税額を不当に少なくする行為のことです。
例えば、故意に所得税の申告をしていなかったり、架空の経費を計上していたりする行為が脱税にあたります。
脱税は「違法行為」にあたるため、税務調査で脱税が発覚した場合は、
といった可能性があります。
租税回避とは、法律違反ではないが法律の抜け穴をついて税額を抑えることです。
租税回避をして税金を抑えても、「租税回避の否認」という制度があり、結局は抑えた金額を支払うことになる場合もあります。
※租税回避の否認=法律の抜け穴をついて税金を抑える行為を、特例として法律の範囲内として扱って課税できる制度
また、法律の抜け穴は見つかれば、法律が改正されて効果がなくなります。
お金や時間を使って租税回避をしていても、結局は支払うことになる可能性があるため、リスクが高い行為です。
節税を始めようと思っても、具体的に何から始めればいいかわからないと思います。
具体的な節税対策は、会社の規模や業種によって変わりますし、税金に関する法律を詳しく知らないとすぐに出てこないと思います。
ネットで調べた対策方法もご自身の会社でできるかどうかは、一概に判断できないことも多いはずです。
そのため、具体的な対策から考えるのではなく、まずは
を確認しましょう。
どんな節税対策でも、基本的には控除を利用するか、経費に計上できるものを増やすのどちらかしかありません。
控除とは、所得から決められた金額を差し引くことです。
所得が減れば支払う税金の金額も減ります。
控除には様々な種類があり、控除によって差し引かれる金額も控除を受けられる条件も異なります。
経費とは、業務上必要な費用のことです。
売上から経費を引いた額が利益となり、その利益の金額によって税金が決まります。
そのため、経費が多ければ多いほど、税金額も少なくなります。
法律上、経費として認められないものを経費として計上していると脱税になるため、無理やり経費をかさ増ししないようにお気をつけください。
節税対策の基本として、下記2点をお伝えしました。
ただ、それだけでは節税対策のイメージがつかないと思うので、具体的な方法もいくつかご紹介いたします。
ここでご紹介する方法は、会社の状態や業種によっては有効じゃない場合があるため、あくまで参考にしていただけると幸いです。
役員報酬は納税額に大きな影響があり、比較的コントロールしやすい経費です。
そのため、役員報酬を増減することで、ある程度税金の金額も増やしたり減らしたりできます。
ただ、役員報酬が必要経費として認められるためには、下記2点の基準を満たす必要があります。
もし役員報酬が必要経費として認められる基準を満たしていない場合、基準を満たすように役員報酬やその制度を変えれば、節税効果が期待できます。
回収が難しい・回収が不可能な不良債権は、条件を満たせば経費として計上できます。
経費として計上できる不良債権は、取引先に支払い能力がなくなった場合や最後の取引から1年以上経過した場合など、特定の条件を満たしたものだけです。
条件を満たさない不良債権は、経費として計上できないため、ご注意ください。
ここまで節税の基本的な知識をお伝えしてきました。
節税対策は大きな効果をもたらすこともあります。
ただ、むやみやたらに節税対策したり、知りたいの会社がやってる節税対策を単純に真似したり、専門家に相談がないまま対策すると脱税になってしまう可能性もあります。
脱税になるリスクを抑えるためにも、節税を始める前に専門家へ相談しましょう。